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「何だ、やっぱり着ているじゃないか」
愛流は夏にも関わらず、着ぐるみの下にしっかり制服を着込んでいた為、着ぐるみを切り裂いた葵は予想通りの声を上げた。
「あおっち酷ーい。この服高かったんだぞ」
切り裂かれた着ぐるみを手に取り、葵の目の前に突き出すと、愛流は頬を膨らましてむくれる。
「すまない、後でちゃんと弁償はする」
そう言いながら葵は仕込み刀を帯刀し、更に言葉を続ける。
「だが、元々の原因は愛流にある。これに懲りたら、校則違反はするなよ」
「絶対弁償しろよな、あおっちー」
ボロボロになった着ぐるみを丸め、愛流は校舎の中へと走って行く。
葵はやれやれと少し微笑み、校舎に消え行く愛流の後ろ姿を見送った。
愛流が口にしていたあおっちと言うのは、葵のあだ名で、葵は特に仲の良い友達にしか呼ばせていない。
また、葵は綜二と同様、魔術よりも武術が得意で特に、刀の扱いに恐ろしい程長けていた。
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