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「ここから先は、中央政府の管轄に入ります」
私は今、リージアンと共に故郷の田舎町を出て、大都市に来ていた。
父が死んだ戦争は、とうの昔に終結し、政府は国を建て直そうと必死に藻掻いている。
治安の維持の為、戦争用に開発された、規格外アンドロイドに廃棄命令まで出ていた。
『規格外アンドロイド』
戦争用に開発されただけあって、戦闘や武器の扱いに秀でている。
戦争で主人を亡くし、次の後継者のいないアンドロイドは、『野良』となり街をさ迷い
時には、人間に危害を加える輩も少なくない。
(ちなみに、リージアンも『規格外』らしい…)
そんな輩を回収し、有無も言わさずに処分する。
この街は、リージアンにとって危険なのは解っていた。
しかし私は、どうしても知りたい事があったのだ。
『ソフィー・アーウェン』
私の母の名だ…
母は、私が物心つく頃には病で亡くなったと、アベルから聞いていた。
彼の遺品の中から一枚だけ見付けた母の写真。
幸せそうに微笑む、母と少年…?写真の裏には
《弟、ノーマンと…》
アベルには、親兄弟がいないと聞いている。
母の話を聞いても、返ってくる言葉はいつも同じだった。
『ソフィーはいい女だった…俺には勿体ないくらいにね』
確かに、写真の母は小さくて可愛らしい。性格も良さそうだ…
男に、守られる為に生まれて来たような…私とは正反対なタイプだ
その母の弟『ノーマン』が、この街に居ることがわかったのだ。
私は、母の事が知りたかった…
リージアンは、そんな私の気持ちを察してか、自分が危険なのを承知で、付き合ってくれていた。
(主人とアンドロイドの関係ではあるが、私はリージアンに命令した事など一度もない)
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