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あれから、7年の歳月が経った。
私はもう、子供じゃない。
トントン…
「マリア」
「リージアンか?入っていいぞ」
ドアを開けて、リージアンが入って来た。
「よく眠れましたか?」
カーテンを開けながら、優しく微笑む『彼』の顔は
(アンドロイドなのに、人間の私より表情が豊かだ)
どことなく、アベルに似ている。
何故、生きるのだろう…
人間は、生きる為に
いろいろなものを
切り捨てて行かなければならない
どんなに大切なものも
切り捨てなきゃいけない
どんな想いも
いつかは失われるもの
どんな幸福も
いつかは手放すもの
懐かしい人や
愛しい想いを失いながら
それでも、人間は
生きる事を求める…
「どうか、しましたか?」
「ん…なんでもない」
アベル…
私は生きる
リージアンと共に…
あなたの分も生きて、生き延びてみせる
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