第1話【趣味ですから】

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僕はその日、寂れた商店街を一人歩いていた。 一ヶ月前、勤めて4年目を迎える印刷会社から突然の転勤命令を受けた。 勤務地が生まれ育った地元だからという理由のみで入社したクソ会社。 まさか4年後、年寄りの香りばかりが漂うこんな田舎に飛ばされてしまうとは思ってもみなかった。 閉じたシャッターに囲まれた商店街。 というか、実際に営業している店なんてあるのかと、コチラの方が心配してしまう。 秋空が、妙によく似合う。 カラッカラッでヒュルヒュルだ。 引越して来て一週間。 会社を辞めて、実家のそば屋を継ごうかなんて考えばかりが頭をちらついて仕方がない。 この際、そばアレルギーだからなんて言ってられない。 言ってられないんだ。
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