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翌日…………
チュンチュンと小鳥の囀りが
葵い蒼空に響き渡る。
私はすでに起きていた。
布団をたたみ終わった頃、
「緋真様!!何をなさっているのですか!!」
と大きな怒声が部屋を支配した。
声の主は
美夜だった。
「…美夜?緋真はただ、布団をたたんだだけですが……?」
悪いことをしたと思い、
私は美夜を心配した目で見つめた。
「……いきなり申し訳御座いませんでした。しかし、この様な雑用は、私達使用人に任せてください。さあ、お食事の用意が出来てございますので、どうぞ広間の方へおいでになってください。」
美夜は、本当に申し訳なさそうに私に言い、
広間に案内してくれた。
広い広い部屋に通された。
真ん中にポツンと
私が食べるであろう食物と
座布団が置いてあるだけ。
とても悲しい。
隣にいた美夜に話し掛けた。
「美夜、緋真一人であの場で食すのは哀しいのです。一緒に食べてくれませんか?」
「とんでも御座いません!!白哉様がお連れしたお客様と白哉様が遣える使用人の身、桁が違いすぎます!!」
美夜は両手を顔の前で振りながら、
一生懸命拒んでいた。
「あっ……そうですか……」
哀しい顔をすると
美夜は申し訳ありませんと言った。
「良いではないか。緋真が良いと言っておるのだ。」
私達の後ろから声がして
振り返ってみると
そこには昨日とは違う着物を着た朽木様がいた。
おはようございます
と、私達は朽木様に頭を下げた。
「美夜と言ったな。兄の食す物をここへ持ってこい。」
「しかし!!」
「これは命だ。」
美夜の言葉を朽木様の言葉が覆った。
「いいのですか!?」
「ああ。」
「ありがとうございます!!白哉様!!」
美夜はにっこり笑って
小走りに食堂へと向かった。
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