名も無き叫び

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「朽木様……ありがとうございます。」 美夜が自分の御飯を取りに行ってしまったため 私は朽木様と二人きりになってしまい 取り敢えずお礼をした。 「良い。食し終わったら、私の部屋に来い。美夜に案内させろ。」 はいと言うと、 朽木様は黒い髪をなびかせながら 歩き出した。 廊下の奥から 自分のおぼんを持った美夜が すれ違った朽木様に軽く会釈して 私の処に走ってきた。 えへへ…と微笑みながら 美夜は私に 「食事のお供させて頂きます」 と言った。 私達は向かい合うように 席についた。 私は座布団のあるおぼんの前に座った。 しかし、美夜は冷たい床板に正座をしていた。 「美夜……足を冷やしてしまいますよ。緋真の座布団を使ってください。」 座っていた座布団を 美夜の方に動かした。 「とんでも御座いません!!美夜はお使いの身にこざいます。どうか気遣いなさらないでください。」 「貴方が足を壊しては、誰が朽木様の遣いを務めるのですか。」 観念したように 美夜は眉を八の字にした。 「申し訳ありません。」 「何を言うのですか……。緋真は流魂街出身の身。美夜、貴方より身分の低い私にあまり気を遣わないでください……。」 「緋真様……。」 美夜は困った顔をしたので私は美夜に笑いかけ さあ、御飯が冷えない内に いただきましょう。 と、明るく言った。
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