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緋真side
寂れた町なみ。
よく晴れた日なのに
町の木は枯れ果て、
冷たい風が吹き
どこか、淋しげな雰囲気。
色を失った町を
一人、薬草を片手に小走りに走る私。
周りを見渡せば
古い家屋の壁に力無く腰を下ろし
体を丸めたおじいさんや
今にも倒れそうに
ふらふら歩く女の子
ぼろぼろの服を着た
幼い子供たちが
目に入る。
毎日町を歩く度に
心を痛める日々……。
辛いのです。
毎日のように
町の人同士が
軽いぶつかり合いで
命を落とし合うのを見るのが。
パタパタと裸足で走る私の足は、擦り傷はもちろん
至るところから血を出していた。
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