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死神は滅多に非番を取れないと聞いたことがある。
何故………私のような貴族でも
死神でもないような者に
ここまでしてくれるのですか……
それからも私は断り続けたが、
命だと言われては
断ることが出来ず。
結局、送ってもらうことになった。
「申し訳ありません。朽木様………」
「あぁ。戌吊に瞬歩で向かう。」
朽木様が私の隣に来て
肩を抱いたかと思ったら
視界が渦を巻いた。
初めて感じる瞬歩。
「目を閉じていろ……緋真の霊力では私の瞬歩の霊圧に耐えられないだろう……」
朽木様は鬼道を私にかけたのか
私の意識が遠のく。
薄れる意識の中
私は一つの疑問を朽木様に問いた。
「朽木様は……何故私の名を知っていらしたのですか………?」
「戌吊の支配下は六番隊にある。住人名簿に、緋真の顔と名前が乗っていたのだ。」
一つ、疑問が晴れたところで私の意識は途絶えた。
―――――…‥
懐かしい匂い……。
「緋真……」
目を開けば
目の前には朽木様のお顔があった。
私の小さな体は
大きな朽木様の腕に、前方で抱えられていた。
そのまま、寂れた街……
【戌吊】を歩いていた。
朽木様の長い髪が頬をくすぐる。
「家屋はどこだ……」
「左の一番大きい家屋でございます。」
そう言うと朽木様はそのまま
私が指した家屋に向かい、
扉を開けた。
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