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扉を開けると
布団に身を隠した千世ばあがいた。
「緋……真ちゃん……?」
千世ばあは驚いたように私を見る。
「千世ばあ!!」
抱いていた朽木様の腕が緩み、
私を下ろしてくれた。
そして私は千世ばあに抱きついた。
「良かった……無事だったんだね…緋真ちゃん。」
「ごめんなさい。千世ばあ……」
千世ばあを………
泣かせてしまった。
本当に
ごめんなさい。
千世ばあと二人、抱き合っていた。
そんなに、私を心配してくれたのですね……
落ち着いた千世ばあは
私の奥にいる朽木様に目をやった。
「そちは誰じゃ」
軽く警戒する千世ばあに
私は朽木様を紹介した。
「朽木白哉様です。裏山で緋真が虚に襲われたときに助けていただき、緋真が倒れた後も朽木様の屋敷で御世話になりました。」
「朽木……白哉……?………六番隊の隊長が今更戌吊に……」
「千世ばあ……?」
千世ばあの肩が小刻みに震えていたのを察した私は
千世ばあに声をかけた。
「今更どの面して戌吊の土を踏んでおるのじゃ!!!!」
怒りや哀しみが混じった
湿った瞳を朽木様に向ける千世ばあ。
「千世ばあ!!お止めください!朽木様はっ……」
「済まぬ………」
朽木様は眉一つ動かさなかったが
色のない哀しい目をしていた。
そのまま外に歩いていった。
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