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いつも通りの朝が来て、いつも通りの夢を見た。
アイツが去り際に見せた、今にも泣き出しそうに歪んだ顔。
思い出してはズキリと痛む胸。
つられて泣き出しそうになるのを堪えてキッチンに入り、いつもと変わらない光景にホッとする。
「……あら、今日は早いじゃない」
「……久々に朝飯食おうかな、と思ってさ」
「珍しい……雨でも降るんじゃないでしょうね? ヤメてよ? 洗濯物干してるんだから……」
「……母さん……」
それが息子にかける言葉か? と思わず苦笑する。
「……やっと笑った……」
「……?」
「思い詰めたような、恐い顔して入ってくるんだから……母さんちょっと心配しちゃったじゃない」
フワ、と笑う母親の言葉に目を見張る。
「もう大丈夫そうね……ご飯、今用意するから……」
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