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まだ昼休みは残っているから、とそのまま裏庭に止まる二人。
「……で? 好きなヤツ、いてんねやろ?」
「…………あぁ……」
「のワリにはあんま嬉しそうやないよなぁ、自分……」
小石を蹴りながら聞いてくる洸に、少し躊躇いながら聞く。
「……お前さ、幼馴染みって、いるか……?」
「? あぁ。一応大阪にいてんで…………って、もしかして自分、幼馴染み好きになった、言うて悩んでんちゃうやろな……?」
「--------そうだよ」
「はぁ? 何悩んでんねん。別に構へんやろ、幼馴染み好きになったかて……」
そんな悩むことか? と首を傾げる洸に、自嘲気味の笑みを浮かべながら言う。
「海堂時緒」
「は……?」
「この前会っただろ? アイツ以外に幼馴染みなんていねぇ……」
「……」
「オカシイだろ? 男が男を好きになるなんてさ……」
くっ、と笑って黙り込んでいる洸を見る。
「呆れたか? 鳥羽……」
嗤いながら聞くけれど
「----そんなハズないやろ」
「とば……?」
真面目な顔で返されて、逆にこちらが驚いてしまう。
「別に変なコトやないし、そない気にするコトでもナイやん。好きになったヤツの性別が、ただ単に男やっただけやろ?」
「……とば……」
「せやから、そんな風に自分を貶めるみたいな言い方、ヤメや……」
いつも通り、人好きのする笑みを浮かべて肩を叩いてくる。
「大丈夫。おかしなコトやあらへんよ」
「……そう、だな……」
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