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その日の放課後。洸は愛車を駆って、時緒の通う西高へと向かっていた。
叶を慰めて……良い友人を演じて……。
自分のしていることに、嫌気がさすけれど。
(しゃーないやん……好きやねんから……)
自分に言い聞かせて、西高の校門前に自転車を停める。
時緒とは、叶のことを覗けば絶対に仲良くなれると確信したくらい、気が合ったけれど……。
(気ィ合いすぎたんや……)
好きな人まで同じだなんて。
(…………せやし海堂……)
勝負しようや。
お前の方が、絶対に勝ち目あるけど……オレにかって可能性あるし。
「ちょっとえぇか? 海堂」
「あ? おぉ、鳥羽じゃん。何だよ? 何か用か?」
「そうやねん……めちゃくちゃ大事な用なんやけど……」
--新藤は、こんなオレを見たら、嗤うかもしれへんな。
「……何だよ、めちゃくちゃ大事な用って……」
「……ちょお、こっち……」
「は? 何……ここじゃダメなのかよ?」
「言うたやろ? めちゃくちゃ大事な用や、て……」
せやけどオレは、お前が好きやから。
「……にしたってこんな奥まで……」
お前みたいに、ただ想い続けるんなんか、限界やねん。
「……」
「……どこまで行くつもりだよ? 鳥羽……」
「人目に付かんトコまで……」
「……ここならもう人目になんか付かねぇよ……」
腕を振り払われて、さすがに少し怒ったような表情を浮かべている時緒の目の前に立つ。
コレは新藤のすべきコトなんやろうけど。
「--------お前、好きなんか……?」
「は? 何が?」
オレかって、気が気やないんや。
「新藤のコト、好きなんか……?」
嗤ったらえぇよ。
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