プロローグ 気持ち

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『かーなーうっ。あーそーぼっ』  毎日のように響いていた声。 『叶っ。一緒に行こうぜ』  毎日のように聞いていた声。  その声が聞けなくなるとか、その姿を見なくなるとか、そんな風に思いもしなかった、あの頃。  いつもいつも日が暮れるまで一緒に遊んで……。泥だらけになって家に帰っては、二人して親に怒られて……。  父親が死んだ日。  一緒に泣いてくれて、朝までずっと、手を繋いでいてくれた。  ずっと、傍にいてくれた。  その時からただ漠然と、コイツとは一生一緒にいる気がする、と思っていた相手だった。  そう。アイツはいつだって、大事だった。その存在が大事なのだと自覚するよりも前から、隣にいた存在だったから。  その大切さや存在の大きさを考える前から、一緒にいた存在だったから。  だから、気付かなくて、気付けなかった。  アイツの気持ちと……それから……オレ自身の気持ちに。
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