215人が本棚に入れています
本棚に追加
/45ページ
『かーなーうっ。あーそーぼっ』
毎日のように響いていた声。
『叶っ。一緒に行こうぜ』
毎日のように聞いていた声。
その声が聞けなくなるとか、その姿を見なくなるとか、そんな風に思いもしなかった、あの頃。
いつもいつも日が暮れるまで一緒に遊んで……。泥だらけになって家に帰っては、二人して親に怒られて……。
父親が死んだ日。
一緒に泣いてくれて、朝までずっと、手を繋いでいてくれた。
ずっと、傍にいてくれた。
その時からただ漠然と、コイツとは一生一緒にいる気がする、と思っていた相手だった。
そう。アイツはいつだって、大事だった。その存在が大事なのだと自覚するよりも前から、隣にいた存在だったから。
その大切さや存在の大きさを考える前から、一緒にいた存在だったから。
だから、気付かなくて、気付けなかった。
アイツの気持ちと……それから……オレ自身の気持ちに。
最初のコメントを投稿しよう!