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「失礼します」
職員室のドアを開け、出席簿・日誌・プリント類を棚から取り出していると、後ろから声をかけられた。
「……日直か? 新藤」
「あ? ……そう、日直。……藍田は?」
「いや……オレはセンセイに呼ばれててさ……」
「何かしたのかよ……?」
「バッ……縁起でもねぇこと言うなよなー、新藤。部活の事で、ちょっとな……」
苦笑する藍田に悪ィ、と笑って返す。
藍田新。クラスメイトで、洸と同じサッカー部に所属しており、今年度の部長を務めている。
「大変だな、部長ってのも」
「そーだな……でも好きでしてることだしさ……」
ニコ、と無邪気に笑う顔が少しアイツに似ているな、なんて思いながら苦笑。
「ん? どーした?」
「いや、別に……じゃあ、オレ、そろそろ行くな」
「……ドア、開けようか?」
「いや、大丈夫」
学年通信や昨日提出した数学のプリント等の山を抱えて笑う。
開けて貰いたいのは山々だが、さっきからサッカー部の顧問がチラチラとこちらを窺っているのが目に入っていたので断っておく。新の方は、背を向けていたせいで気付いていないらしいが……。
「……じゃあ、教室でな」
「プリント、気を付けろよな?」
「わーってるよ」
プリントの山を抱え直してドアを開け、律儀に挨拶をして職員室を出た。
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