第一章 時代

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 サラリーマンのお父さん、専業主婦のお母さん、中学2年生の弟と一緒にこの団地に住んでいる。 「ニャー」  あ、忘れてた。猫のエリザベスもね。 2 「ルナ、早く食べないと、学校に遅刻するわよ」  お母さんは、朝食を置きながらルナに話しかけてきた。 「わかってるわよ、お母さん。もう、子供じゃないんだから、自分のことは1人でできるわよ。ね え、エリザベス」 「ニャー」  ルナはエリザベスと戯れなが ら、お母さんにそう言った。 「そう、じゃあ、朝食もいらないのね。じゃあ、これ、私が全部食べちゃおうかしら」  お母さんは、手に持っていたルナの朝食を、箸を使わずに、パクリと平らげようとした瞬間、 「ああ、もう、食べればいいんでしょ、食べれば」  ルナは、お母さんが食べようとしたルナの朝食を、口に入る寸前のところで取り上げた。
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