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颯斗、笑ってよ。 笑いなよ? いつもいつも颯斗は、泣いてるね。 嬉しい時も悲しい時も 悔しい時も。ほら、今だって 男のくせに鼻水だらだら流して 目を真っ赤にして泣くんだよね。 『泣かないでよ。』 毎回笑ってそう言うと 『泣いてねぇしっ』 って意地を張って言うんだ。 いつもその繰り返しだったよね、いつも。 泣いてる颯斗も可愛くて好きだけど 笑ってる颯斗の方が何倍も好きなんだよ。 私も笑えるから。 元気になれるから。 これが幸せって感じられるからさ。 だから笑って。 てかね一緒に笑ってたいよ。 大丈夫だよ。颯斗は。 颯斗を愛してくれる人は 何十、何百、ううん、沢山いるはず。 私の事は忘れてもいい。颯斗を愛してくれる人と一緒になってもいいかな……。 ……ただね、幸せになってね。 そうしなきゃ、私その子に譲りたく無くなるから。笑えなくなるから。 でもやっぱり、少しだけ覚えてて欲しいな。 寝る前に一瞬、思い出してくれるだけでいい……。未練たらしくてごめん。やっぱさ?颯斗を一番好きなのは私だって事も…覚えてて欲しいよ。 でも颯斗がいずれ天国に来た時は颯斗の隣は私だけの場所だからね(笑)って、それはその子に譲らなくちゃいけないのかな…… だって颯斗が大好きだから。 ずっと見てるかもな。颯斗の隣についてるかもな。 気持ち悪いかな? 私……謝りたい事も山程あるんだ。 子供が好きだった颯斗に子供を産んであげれなくて本当にごめん…。 私も颯斗と一緒に見たかったよ。颯斗との子供。世界でたった一人だけの大事な命。 きっと可愛いんだろうな。 愛しいんだろうな。 朝起きたら颯斗とその子が居て。 一緒に一日を過ごして…… 毎日がもっと幸せなんだろうな。 大事な赤ちゃんいる時に病気になんかなるから……馬鹿だよ、私。 母親失格だよ。颯斗、赤ちゃん本当にごめんね…。折角授かった命は私達より先に空に登って行った。 颯斗はまた、戻るからって自分も泣いてるくせに私を抱き締めてくれたね。 ねえ、そう思うとあんまり寂しくないかな?だってね?空の上には赤ちゃんが待ってるよね、きっと…… 抱っこしてあげれるんだよ、 本当に……可愛いだろうな。 次こそいっぱいギューッてしてもう離さないんだ……。 どうしよう、颯斗みたいに泣き虫だったら大変だよ(笑) ……寂しくないからね?  
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