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先生は時計を見て、後ろに手を組み悲しそうに言った。 「…午後9時26分…御臨終です。」 「うわぁあぁーーー!!優衣……!!」 両親が抱き付きながら大声で泣き叫んだ。 俺はただ立ち尽くした。 嘘だよな……?でも、嘘じゃない。 信じたくない自分と、状況を理解して立ち尽くしてる自分がいた。 機械には、一本線だけが流れてる。 “心臓はもう動いてない” それは嫌でも俺に現実を突き付けた。 お前馬鹿だよ…まだ、暖かいじゃねーか。俺残して死ぬなよ。 お母さんとお父さん泣いてるぞ?親孝行すんだろ……? なんでこんな若さで死ぬんだよ なんでお前が死ぬんだ? なんでお前なんだ? なんでだよっ…? お前じゃないと無理だよ。 俺………お前じゃないと……。 優衣はまだ笑っていた。 『泣かないでよ』って言ってる気がした。 もう俺泣かねぇから。 強い男になるからさ。 今日だけは、泣かせてくれねぇかな…… 俺……お前と居れて幸せだった。 好きな人を想って泣くとか初めてだったよ。 素直に好きって想えた事も 結婚したいって。 一生側にいたいって。 想えたのも全部初めてだったよ。 大切な事教えてくれてありがとな。 お前は 俺と一緒に居て幸せだったか?  image=289877441.jpg
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