―序章―

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   オーランは全身を盾の真後ろに隠すと、鉄槌で打ちつけられた様な衝撃を受ける。身を乗り出し盾を覗くと表面が削れている。   (……貫通は防いだ、な)   (だが、これで良い……奴らも時間稼ぎはされたくはないだろう……)    弓使いは防がれたのを知ると、大岩を飛び降りゆっくりと間を詰める。     (……やはり、時間が惜しい、か……)      身を隠しながら後方の炎の壁に目をやると、先程より勢いが弱まっていた。オーランは盾を構えながら少しずつ後退していく、そこへ再び弓使いが矢を放つ。  先程よりも距離を詰めたせいか、オーランは盾ごと吹き飛ばされそうになった。   (……それにしてもこの威力、ただの野盗にしては腕が立ち過ぎるな……)   (……あの距離から詰めてくるとなると、……あと二回、……あと二回防げばこの槍が届く、か)    弓使いの顔がはっきりと確認できる距離にまで縮まると、背後の騎士達にも緊張が走る。そして三度矢が放たれる。  分厚い盾に鉄製の矢が突き刺さり、オーランは上体がのけ反りそうになる。   (……やはり、その場からの連射はないな、そのまま来い、あと一度防げばこの槍が貴様を貫く……)  
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