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次の一矢に勝負を賭したオーランは片目を盾の外に出し、様子を窺う。
水色の髪の弓使いは、一歩一歩ゆっくりと間を詰め、弓を構え始めた。
(……勝負!!)
オーランは盾に全身を隠し、半歩ずつ前へ前へと距離を詰めた。
今までの衝撃よりも強くオーランの身体に響き渡り、鋭き鉄の矢は盾をオーランから引き剥がした。同時に槍を力強く握り前方へ飛び出したオーランは、真っ正面を向いたまま立ち止まった。
(……そ、そんなバカなっ!?)
矢を射った筈の弓使いは、オーランを正面に向き構えている。
先程の一矢は、崖の上から野盗達が数人がかりで巨大な弓をオーランに向け射ったものだった。オーランは崖上に一瞬目をやり再び目の前の弓使いに戻す。
「くっ、卑怯な真似を」
すると、弓使いはその言葉に笑みを浮かべる。
「クックッ、……野盗には騎士道というものが無くてな」
「お前が本当に、噂に名高い天聖のオーランなのか?……いささか拍子抜けだが、……最早どうでもよい事だ」
弓使いが話している途中、オーランは歯を食いしばり雄叫びをあげ弓使いへ猛突進すると、弓使いはオーランに向け矢を射った。
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