―序章―

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   青々と澄み切った大空の下、穏やかな緑の高原を抜けて、山岳地帯へと進み出した一個中隊程の騎兵団が、行く手を阻む山々に馬を降り、隊列を変え、蟻の行列の如く縦一列に変更していく。    進軍の中、芦毛の馬の手綱に時折引っ張られて、自身が纏う不釣り合いな白塗りの鋼の鎧に押し潰されそうになりながら、兜から淡い赤毛を靡かせる幼き少年は、前を行くやや年上の少年に話し掛けた。     「ねえ、サイファー?」      サイファーと呼ばれた少年がけだるそうに振り返る。     「ぁあ?」      金髪に切れ長の青い眼、肌は透けそうに白い少年は、後ろに向いた首を戻した。     「いつもこんな重装備なの?」      再び問い掛ける幼き少年に、サイファーは振り返ると暫くの間、幼き少年を睨み続けて言った。     「詰まらん事聞くなっ、ペイジ風情が……」    
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