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その言葉に、幼き少年よりも早く反応したのは、幼き少年の後ろを歩き白髭を生やす眉間に皺を寄せた老騎士だった。
「今の言葉は無礼であるぞ!サイグファング殿!!」
半歩ほど隊列をはみ出して、老騎士は馬の手綱を引いたまま怒鳴り始める。
「そのような言葉、例え寛容なアルロワ様がお許しになったとしてもこのウィンドロゥが許すまいぞ!!」
怒鳴られたサイファーは、軽くあしらう言い草で正面を向いたまま答える。
「……お言葉ですが、ウィンドロゥ卿……身分は下級なれど、そこの小姓より騎士の位は上だということをお忘れ無き様願います」
エスクワイア(従騎士)であるサイファーは、未だペイジ(小姓)のアルロワよりも身分のせいで見下される事が許せず、自分よりも位の高い騎士の称号を持つウィンドロゥだとしても引き下がらずに反論した。
二人の間に挟まれたアルロワは、自分の父親の臣下であるウィンドロゥを諌めた。
「ウィンドロゥ、サイファーの言う通り、命を落とすかも知れない厳しい戦場で馬鹿な事を聞いた僕が悪いんだ、サイファーを責めないで!」
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