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「アル、解ったか? 今オレ達は西の小国のヴェインに同盟を申し立てに向かってるんだ、その証に王位継承権を持つ第二王女のマリア様を人質にしてだな……」
またもサイファーの声にウィンドロゥが反応する。
「サイグファング殿!『人質』とは口が過ぎますぞっ!」
「ハッ、同じ事でしょうが、」
「で、マリア様を『お預かり』いただいた後、オレ達はヴェイン側から本国と共に北の大国ハイランドを目指すって訳だ、解ったろ?」
サイファーは、逐一アルロワに説明すると、アルロワも頷き、中隊の中心に見える馬車を見守った。
そんなアルロワの姿を見てウィンドロゥは声を掛ける。
「心配ご無用ですアルロワ様、貴方様の御父上は、槍を使えば、その突きは天をも貫くとさえ言われた聖騎士、天聖のオーランです。全て上手くいきます」
「……父上」
アルロワは馬車の前を行く父の後ろ姿を見守る。その時、アルロワの視界に一本の火矢が走り隊列の中心にある馬車に突き刺さる。見上げると、山岳に囲まれた崖の両脇に何十もの人影が見えた。
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