―序章―

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   中隊の騎士達が同じ様に崖の両脇を見上げると共に、一斉に無数の矢が降ってくる。    騎士達は慌て、馬に備え着けてある盾を取り身構える。    崖の上の何十もの人影はその様子を確認すると、間髪入れずに数人でやっと動く程の大きな岩を幾つも落石し始め、それにいち早く気づいたオーランは崖の下の谷に響き渡る大声で叫んだ。   「皆、退けぇっ!!」    騎士達はオーランの命令に従うが、先頭集団の騎士達は前方の大岩と後方の騎士により、身動きが取れず次々と岩の下敷きになっていく。   「父上っ!!」    アルロワは思わず声を挙げるがその声は届かず、オーランに近づこうと歩み出すアルロワをウィンドロゥが抑える。隊の後列に位置しているサイファーは、馬に飛び乗り直ぐさまその足を翻し山岳地帯を抜けようとしたが、その時何も無かった眼前に炎が後列に襲い掛かるように巻き上がる。爆炎と呼べる炎は瞬く間に高い壁となり、サイファー達の退路を遮断した。   「チッ、無理だっ!」   「馬が言う事聞かねぇ!!」     暴れ馬をサイファーが宥めながら叫ぶ。     「馬を手放され走られよっ!!」     ウィンドロゥの声に首を振りながら答えた。     「無理だっ!」   「鎧が邪魔で抜けれっこねぇ!!」  
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