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サイファー達が隊の中心へと振り向くと、王女マリアを乗せた馬車が轟々と燃え盛っている。
「マリア様っ!!」
オーランは馬車の扉をこじ開け、中に倒れているマリアを担ぎ外に出ると、周りの騎士達はオーランを囲み、掲げる様に盾を天に突き出しマリアを守る。
「父上ぇー!!」
再び父の名を呼ぶアルロワにオーランは気づいたのか、腹から絞り出す声で叫んだ。
「ウィンドロォォっ!!」
ウィンドロゥは即座に馬に跨がり隊中心へと縦列する騎士達を撥ね除けるように駆けていく。それに続きアルロワも後を追おうとするが、今度はサイファーに肩を掴まれ抑えられる。
オーランの元へ駆け寄ったウィンドロゥは馬を飛び降りると、オーランの傍へ詰め寄った。
「ウィンドロゥ!」
「はっ!」
「私の馬でアルロワールを連れて逃げろっ!!」
「し、しかしっ、それではっ」
「構わん!」
「……私はマリア様を守らねばならんっ!!」
「アルロワールはお前に託す!!」
「行けっ!!」
「はっ!」
ウィンドロゥはオーランの白馬に跨がり再びアルロワの元へ駆ける。その場に残るオーランはマリアを騎士に預けると、小姓が持つ手槍を奪うように掴むと崖上の人影に向け投げ放つ。矢よりも速く放たれた槍は人影の体を貫き、その威力を示す様に貫かれた体は一瞬、宙を舞った。
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