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「それでは勝てない。今も、これからも……お前は負け続けるぞ」
柄にもない忠告を残し、クロスは錬金術を発動。地面が形を変え、槍のごとき突起物となってレオに迫る。
それでも、レオは気付かない。
「……ッ!?」
クロスと刃を合わせたところで、レオの背中を土の突起物が射抜いた。
「ガハッ」
怯んだ隙にクロスは飛び退き、レオの真下に魔力で錬成陣を描き、発動。地面が形を変え、今度は縄となってレオの身体を縛る。
「クソ……クソがァ!」
「ふん」
鼻を鳴らして目を背け、スコールの方へ歩み寄る。
「終わった。アイツを探しに行くぞ」
「良い……のかな?」
スコールが心配そうにみのむし状態に成り果てたレオを見る。両手が使えず、まな板の上の鯉のように飛び跳ねている。
「ふざけんなッ! まだ終わっちゃいねーぞ! 戦え、戦いやがれ!!」
一度だけ見下ろし、また鼻を鳴らす。
「案ずるな。あんな程度ではくたばらん。仮にも、あの馬鹿の息子なんだ」
「そうだね」
レオのバイタリティの高さは言わずもがな。この調子で叫んでいれば、その内誰かに発見されるだろう。
二人は踵を返し、レオに背を向ける。
「ふ……ざけんな!! まだだ、まだ……!」
レオは、叫んだ。
ただひたすら、力の限り。
「ざけんな! ざけんなよ……!!」
だがそれは、クロスやスコールに対する叫びではなかった。
「敵が、いるんだよっ。錬金術が……オレの目の前に……! なんで動けねぇ……まだ戦えるだろっ、まだ……!!」
それは、情けない自分への叫び。
また、自分は何も出来ないのか。去り行く敵を、ただ見ているしか出来ないのか。
「ざけんな……ざけんなァ!!」
瞳から涙が溢れる。アレハンドロを取り逃がした時のようにガンブレードを叩きつけようとして、腕が動かない事に気付く。
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