人形

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友達に福永という人がいました。彼は、あまりクラスで目立つほうではなく俗に言う影が薄いというような人でした。 ある日、彼と何人かの友達で外のゴミ焼却炉を横切ろうとしている時に、彼が急に立ち止まって焼却炉のほうをじっと見つめ始めました。どうしたのか聞くと、彼は『人形がいる、呼んでるんだ。』人形って何と聞くとさらにこう言った。『一週間前から人形が見えるようになってね、いつもついて来たり部屋の隅で僕のことを見てるんだ。』そして話し終わると、焼却炉のほうへ歩いていって炎の中に飛び込もうとしていたので、慌てて彼を止め説得しその場を離れました。 それからの彼は授業中に奇声を発したり、人形がいる・人形が呼んでる、と言うようになり日に日に痩せていきました。 ある日の体育の時間、ソフトボールで外にいた時いきなり彼がバットを振り回し始めました。『あっちいけ!こっちくるな!まだ死にたくないんだ!』 彼はまた人形を見たようで、もう周りの友達は慣れていたのであまり気にしなかったのですが、先生は彼の行動を止めようとしましたが、止められませんでした。
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