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Side 曽根川ひかる
「あ、あの~……」
彼女が目覚めたのはソファに寝かせてから三十分くらい経ってからのことだった。
「あ、起きたんですね」
平常心でいるつもりなのに、ボクの顔は期待や色々で自然とほころんでしまう。
変に思われたりしてないかな……。
でも、どうやらその心配はいらなかったみたい。彼女はぽーっと顔を少し染めて……、いや? もしかしてボクは恥ずかしい顔してたのかな?
「えっ、えーっと……、キミの名前は何て言うのかなっ? あ、その前にあたしのこと介抱してくれたみたいでありがとっ」
そんなことを考えていると、彼女はにぱっと笑いながらボクの名前を聞いてくる。
「ボクは曽根川ひかるって言います。キミの名前は?」
「あたしは天見愛流って言うんだけど……」
……だけど?
そこがちょっと気になって愛流さんの次の言葉を待つ。
でも愛流さんは少しうつ向きかげんになってプルプルと体を震わせている。
「あ……、もしかしてまだ体の具合が……」
あれだけの高さ、早さで地面に落ちてきたんだ。パッと見じゃキズ一つないけど、もしかしたらどこかをおかしくしてる可能性が……。
そんな考えが頭をよぎって、愛流さんに近づこうとした時だった。
「うひゃあっ!?」
「あ~ん、さらにボクっ娘だなんてもぉキミ可愛すぎるよ~!」
ネコみたいな跳躍。
愛流さんは突然ボクに飛びかかってきた。
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