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「肌とかももちもちのすべすべだし~!」
「あっ、ちょっ……ひゃう!?」
かっ、顔が近いですよっ!
ほっぺをつつかれ、撫でられ、あげくに頬擦り。
もがいてももがいてもますますギュッとされて、ボクには脱出の手段がない。
こっ、これはコミュニケーションの一つなのかな……。
でもボクは男で愛流さんは女で……、こんなことを何の躊躇もなく出来るのはなんでっ!?
「う~……っ、あたしにこういう趣味はなかったハズなんだけど何かに目覚めちゃいそうだよ~。ひかるちゃん」
「え……?」
“ひかるちゃん”……?
ボクは昔っからよく女の子に間違えられた。体格だってよくないし、声だっていまだに高い。そして何よりもこの中性的だって言われる顔立ち。
女装だってさせられたし(主に玲菜に)悲しくなるけど誰にもバレなかった。
うう……、何か黒い歴史っていうか悪夢っていうか……。
この人(愛流さん)はきっと……!
ボクを女の子と勘違いしてるーっ!?
「ちょ、ちょっと愛流さん」
頑張ったよボクの体。愛流さんの手が緩んだ一瞬の隙に何とか引き剥がすことに成功。
ひとまずボクは男だって教えないと……。
「あっ、ごめんね? ついひかるちゃんが可愛くて暴走しちゃった」
“可愛くて”……。
昔から初対面の人に何回言われた事があるんだろう。
なんにしたって、ほぼ確実に愛流さんはボクのことを女の子だって思ってる。
「ぼっ、ボクは男ですッ!」
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