プロローグ

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Side 曽根川ひかる  ボクこと曽根川ひかる(そねがわひかる)は非日常的な事にものすごく興味がある。  それは例えるならファンタジーな世界。魔法とか超能力とかそういった類いのもの。  夢の見すぎとかバカみたいだと言われそうだけど、やっぱりボクには憧れで夢でもあるんだ。  そんなことをいつも思い描きながら毎日を過ごしてる。  でも非日常的な事っていうのはそう簡単に起きるものじゃないんだよね。  自分でそういうことを起こせるワケじゃないし、仮に起こせたとしても、それはボクが思い描くものとはまた違う。  ボクの中での非日常というのは、いつだって外から突然やって来るものだから。  最近の非日常的な事といえば、今日から父さんと母さんが商店街の福引きで当てた熱海旅行に行く事ぐらい。  それ以外はいつもと全く変わらず、ボクはいつも通りに朝ごはんを食べ学生服に着替え、毎朝同じ時間に僕を迎えに来る幼なじみを待っている。  時計の短針が七と八の間、長針が六を指すと同時に玄関のチャイムが鳴る。  そして玄関の外から聞こえてくるのはいつも同じセリフ。 「「ひかる! 起きてますの!? 早く出てこないと置いてきますわよ!」」  ……今日もタイミングばっちりだ。  玄関のドアに手をかける前に小さくガッツポーズ。  ちょっと高飛車な言葉遣いの彼女に聞こえないよう、こっそり同じセリフを言うのが毎朝の密かな日課だったりする。
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