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「成る程、つまり貴女は行き倒れていた所をひかるに助けられた。というんですわね?」
「はい」
「それならいいんですの。てっきり私、ひかるに悪い虫がついたのかと」
「れっ、玲菜っ! 失礼なこと言っちゃだめだよっ!」
まだ玲菜の機嫌は治ってないなぁ。
一言一言にトゲがあるっていうか、攻撃的っていうか……。
淀んだ空気のまま夕飯を済ませたボクたち。今度は玲菜の愛流さんへの質問責めが始まっていた。
ボクは最初に止めに入ったけど、瞬く間に一蹴。加えて愛流さんも『大丈夫大丈夫。心配してくれるのは嬉しいけど、話さなきゃ始まらないことだってあるしねっ!』と、笑顔で言ってきたので、ボクには傍観という術しかなかった。
「それではどうして行き倒れなどという状況になったんですの? この昨今、ましてや日本の普通の住宅街では到底考えられない事ですが」
うう、ボクだって愛流さんに聞きたいことはたくさんあったのにぃ~っ!
「うーんとね、それは……」
そこまで言うと、愛流さんは唐突に自分の服の胸元に手を入れてごそごそ。
やがて何かを取り出してテーブルの上に置いた。
「これが理由なんだよ」
「何ですのコレは?」
ホントに何なんだろう。
テーブルの上には、何か化学の実験に使う試験管に似たようなモノが置いてあった。
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