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「おはよう玲菜」
「いつもいつも何ですのその顔? 朝からニコニコして」
「何でもないよ」
「そうですの、それじゃさっさと行きますわよ」
「はいはい」
整った顔立ちに青みがかった瞳、金色の髪を肩甲骨くらいまで伸ばしてお嬢様みたいな出で立ちの彼女がボクの幼なじみの上之宮玲菜(うえのみやれいな)。
本当はお嬢様みたいじゃなくて本物のお嬢様なんだけどね。
何の変哲もない普通の一軒家であるボクの家のすぐ隣。門から玄関までたっぷり二十分はかかる敷地に、三百部屋あるという大豪邸。さらにはメイドさんと執事を合わせて三百人もいるのが玲菜の家。
上之宮家……、上之宮グループは世界中に展開している大企業で、玲菜はそこのご令嬢。
なぜかは分からないけどボクが幼稚園(三才)の頃突然越してきて、そのまま幼、小、中、高と一緒に過ごしてきた。ついでに加えるならずっと同じクラス。
……どうして普通の公立に通っているのか聞いたことがあるんだけど、『私の両親は普通の所で普通の学生をやりなさいと言ってましたの』つまり両親の意向なんだって。
スゴい人の考えることはよく分からないや。
『端から見ればそれが既に非日常だろ』とか『何だよそのあり得ないシチュエーションは!』って友達に言われたりするけど、ボクにとってはそれが日常。
だからこうして二人並んで学校までの道を歩ってる。
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