プロローグ

4/6
前へ
/52ページ
次へ
 いつもと同じく、とりとめのない会話をしながら歩幅も歩調も合わせて歩いていると、どうにも玲菜の様子がおかしい。  どことなくそわそわしてるっていうのかな?  そんなことを考えていると、玲菜は何か決心したように一人頷いてボクの方に顔を向ける。 「ひかる? 今日からおじ様もおば様も旅行でいないんでしたわね?」 「うん、そうだよ?」 「で、でしたら……」  玲菜はためらうように指をもじもじさせてて、二の句が出せないみたい。  でもボクは玲菜が何を言いたいのか分かってしまった。  長年幼なじみをやってるから自然と理解(わか)っちゃうんだよね。性格とか色々と。  玲菜はなかなか素直になれない性格なんだ。だから言いたい事は何か憎まれ口みたいな言葉と一緒に言ってしまう。  もっともそれはボクにだけ使われるみたいなんだけど。幼なじみだからなのかなぁ。 「本当はこんなことしたくはありませんけど、ど、どうしてもと言うのなら私が料理を作りに行ってもよろしいんですのよ!」  ……やっぱりね。  玲菜のこの面を見てしまうと、よく玲菜に振り回されたりするボクとしては少しだけいたずら心を働かせたくなってしまう。
/52ページ

最初のコメントを投稿しよう!

52人が本棚に入れています
本棚に追加