プロローグ

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「玲菜、ボクが自炊できるの知ってるよね?」 「────ッ!」  あははははは。  玲菜ってばあっという間に顔をゆでダコみたいに真っ赤にさせちゃった。 「ひ、ひかるなんかもう知りませんわ!!」  少し涙目で怒った口調になってからそっぽを向いて早歩きになる玲菜。  これはボクの予定通り。  そしてここからが性格を知り尽くしている幼なじみとしての真骨頂。 「でも一人で晩ごはんを食べるのは少し寂しいんだよね」  ボクがそう言うと、そっぽを向いていた玲菜はぴくんと反応して早歩きの足を止めて、 「どうしてもと言うのなら行ってあげないこともないですわ」 「それじゃどうしても。ボクがごちそうするから一緒に晩ごはんを食べよう」 「仕方ないですわね」  本当に分かりやすい性格なんだよねー、玲菜は。  だからたま~に今日みたいなからかい方をすると面白い。もちろん怒らせっぱなしはダメだからアフターケアが大事なんだけど。  ボクは、さっきの早歩きで少しだけ先に行ってしまった玲菜に小走りで追いついて、また一緒に歩きだす。  さてと、今日の晩ごはんは何を作ろうかな。
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