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「いいこと? 人は口で言わないとわからないの。テレパシーで伝えようったって、そんなものはないのよ、人間には。わかる?」
「うん、わかってる」
「……」
「……」
「……あ、あのね、愛流」
「?」
6拍くらいの間の後に聞こえた玲奈の言葉にさっきまでの勢いがなくなっていることに気がついた愛流が玲奈に視線を戻すと、玲奈は先ほどまでの愛流のように俯いていた。
「どうしたの…?」
今度は玲奈の頬が赤くなっていることに気が付き、愛流はまさか玲奈も自分と同じことに気が付き恥ずかしくなっているのではないかと推測した。
「玲奈、大丈夫…?」
さっきまでトントン拍子で会話と呼べるかどうか定かではない怒鳴りあいをしていた二人であるのに、急に一方が静かになってしまった。そりゃいくら周囲から犬猿の仲と呼ばれるほど仲の悪い二人であっても、心配するのが人の性である。
「大丈夫…? じゃないわよ!」
「ふぇ?!」
「風邪じゃないなら気味悪いから赤面すんなこのタコッ!!!!!!」
顔を上げたかと思うといきなり怒鳴りだす玲奈に驚き、思わず眼を大きく広げる愛流であった。
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