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「ありがとう」
少しばかり照れながら愛流がそういえば、ひかるは優しく
「いいよ」
と返す。
「もう、本当にびっくりしたよー!」
ひかるは先ほどよりも少し大きな明るい声で言うと、うー、と伸びをしてゴロンと寝転ぶ。
「私もー!」
そう言いながら、愛流も続いて横になる。二人で顔を見合わせ、声を立てて笑うと、そのまま二人は青く澄んだ空を見上げた。学校の屋上に寝転んでいるため、二人の視界には青々とした空と、そこに浮かぶ小さな円形の物体だけであった。
「あのコアを作った人ったハル・ワーカーって人、どんな人なのかな」
しばらく続いた沈黙を破ったのは、ひかるだった。何が言いたいのだろう。愛流は広い空からコアへ視線をやりながら、ひかるの言葉を待つ。
「ハルは僕らの世界を作った人らしいけど、一体どうして“希望の星”なのに少数の人しか入れないようにしたんだろう」
“希望の星”と呼ばれた空に浮かぶ物体は通称、コアと呼ばれ、地上に住む人間にとって憧れの場所となっている。そしてコアには、ひかるの言う通り、毎年30人前後の人間しかそこに行くことができないのだ。
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