2st stage

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「希望、だからじゃないかな」  愛流が答える。その答えがピンと来ず、ひかるは問い返した。 「どういうこと?」 「うーん、うまく言えないけどさ、希望は誰でも持っているものだけど、現実にそれを叶えられる人なんてほんの一握りじゃない。みんなコアに行きたいけど、それをかなえられるのは毎年一握りの人。でも、もしコアが地上にあって誰でも入れるとしたら、きっとそれは誰の“希望”でもなくなるわ」 「それじゃぁ愛流は、コアが“希望の星”であり続けるために、試験なんかで入れる人を厳選しているとでも言うの? 本当に“希望の星”であるならば、全ての人に平等であるべきだよ」 「そう、熱くならないでよ」  普段は温厚で争い事を好まない性格のひかるだが、人一倍正義感が強く、彼の倫理観に反することになるとすぐに火がつき、彼を良く知るものでも気圧されるほどの情熱がどこかからか持ち出してくるのだ。  愛流も、今言ったことが、自分の信念に基づくものであったとすれば言い返すものの、たかが思いつきに過ぎない。言い争うつもりのなかった愛流は、火のつきかけたひかるをため息交じりに制した。 「私だって、全ての人に平等であって欲しいと思ってるよ。でも、あそこに何があるのかなんて、誰も知らないもの。毎年、学校の成績が良い人と、一般選考で選ばれた人だけがコアに行けるけど、それきり誰も戻ってこないから、何もわからないのよ。私は、あそこにあるのが本当に“希望”なのか、さっぱり良くわからないわ」
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