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「そうね。それで?」
「・・・あれ?」
「ん?」
「おどろか…ないの?」
「え? むしろ、今まで女だと思ってたの?」
「…うん」
「あんた…どこまで馬鹿なの…。ちょっと、ひかる!」
「え?」
束と話していたひかるが振り返った。驚くほど美人なのに、男だったとはいまだに信じることができない。
「愛流ってばね」
「うんうん」
自分の名前を呼ばれて、ひかると頷くのは愚かな愛流だった。
「ひかるのこと、女だと思ってたんだって」
玲奈がそういえば、
「わ! なんで言うのよ!」
と愛流が戸惑い、
「びっくりしたなぁ」
と、ひかるが呑気に言い、
「マジか…」
と、愛流をかわいそうな目で見た。そして、玲奈のよく通る声がクラス中に渡り、クラスは一瞬間を置いた後、笑いに包まれた。
「~~~~っ!!! 玲奈ぁ!!!」
よほどダメージが大きかったのか、猛進する愛流を、レイラは一蹴した。
「もー、うるさいわね。言われたくなかったら止めなさいよ」
「だって、まさかそれを言うとは思わなかったんだもん…」
「はぁ? 空気読みなさいよ。むしろそれを言わずして何を言うのよ」
「だってぇ…」
頭を抱える愛流を、玲奈は信じられないという表情で見ていた。
「確かにひかるは女の子にも見えないことはないわよね。目は大きいし、髪の毛も長めだし、小さいころはお姫様のドレスを着てたし…でもね、愛流…ひかる、僕、っていうでしょ」
「…ぼくっ子かと思ってたの」
「…あなた、どこまで」
ばかなのよ、と玲奈が言おうとした時だった。
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