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2人であわあわとしながら騙しただの騙されただの、そんなことをしばらく繰り返していると、突然パコッと音がして、壁にかかっている鳩時計の窓が開いた。
「ありゃ、もうこんな時間だわ」
さっきまで泣き叫んでいたのは嘘だったのか。
ひかるは、時計の指す時間を見て冷静に言ってのける愛流に突っ込みを入れるべきかと一瞬迷ったが、そんなことしている場合ではない。
西暦2534年。どんなに文明が発達しようとも、某22世紀から来た猫型ロボットの秘密道具の一つであるど○で○ドアのような一瞬で他の場所に移動できるものなんかまだ存在しないのだ。
ここから学校まで歩いて20分、走って15分。学校が始まるのが8時15分、鳩が鳴くのが8回…やばい。
「愛流、学校! 遅刻する!」
そう叫ぶと同時に、ひかるは側にあった自分の鞄を手に取り、反対側の手で愛流の手を掴んだ。鳩がようやく最後の一声を発した時にはもう既に二人の姿はそこにはなかった。
そうして二人は仲良く手をつないでダッシュで学校に向かい、先生に怒られる事もなく無事に過ごす事ができたのでした。
めでたしめでたし!
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