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はてさて。そんな感じで始まった物語なのだが、愛流が何に驚いたのかを知る機会はもう少し先になるようだ。
「よ、よかった。間に合いそうだね、愛流」
「うん!」
息を切らせながら言うひかるに対して、愛流はけろりとしている。先刻学校の敷地内に足を踏み入れるまで、全力で足を動かしてきたはずなのに、なぜか疲れ方に差があるようだ。因みに付け加えておくと、愛流はひかるの漕ぐ自転車の後ろに優雅に跨っていたのではない。一緒に走ってきているはずなのだ。
「ちょっと! 離れなさいよ!!!」
ひかるの呼吸が落ち着き始めたときであった。いきなり後ろから、殴りかかられるような怒声を浴びせられ、愛流はイラッとして振り向いた。
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