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レンの言っていた『現場百回』、『聞き込み調査』ら明日にするとして、ハルヒコは自宅に帰ってきていた。
睦月学園中等部から徒歩三十分ほどの距離にある自宅は、築二十年ほどのボロアパート。家賃も安く、入居者もそこそこいる。
見た目ワケアリ物件みたいな感じだが、大切に扱われているのか、中は以外と綺麗だった。
ハルヒコの部屋は錆びた階段を上り、一番奥に存在している。扉は防犯対策のためか、鍵を二つ開けなければ入れない仕様になっていた。
「……ふぅ」
中にはいると、即座に部屋に設置されているこたつの前に座り込む。そして、こたつの上に置いてあるメントールのタバコに手を伸ばすと、慣れた手つきで一本取りだし口にくわえる。そして、百円ライターで火を点けると、点火するために口に含んだ煙を吐き出す。
「…………」
二口目の煙を肺に入れ、吐き出すと、少し疲れた表情から何とも言えない満足げな表情になった。
本来、チェーンスモーカーであるハルヒコは、そのタバコ代がバカにならないとして、今年から自宅以外の場所での禁煙を決めた。以来、自宅に帰ってこうしてタバコを口にするのを密かな楽しみとしていた。
最も、消化しきれなかった仕事がある時や、レンに無理やり部活の顧問にさせられてからお預けを食らうことも少なくなかったが、それはタバコ代削減に繋がっていると考え、割りきることにしていた。
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