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はじめの一本を灰皿で揉み消すと、新たに一本取りだし火を点ける。
「……原因、か」
分からないことが多すぎる。
まず、コイブミが死亡した時間。
それが、今日の朝なのか、昼なのか。または、掃除が始まる直前に亡くなったのか、全く見当がつかない。……いや、彼女は今日は登校していない。ということは、昨日の内に首を吊っていた可能性もある。
いずれにせよ、レンに鑑識結果が知らされるまで分からない。
次に、彼女が亡くなっていた時の状況だ。
レンは自殺と断定していたが、果たしてどうだろうか? 他殺の線があってもいいのだろうが、やはり分からない。だが、これは確かめる術はある。
最後に。
かなり単純なことだが――自殺の線で考えて、何故コイブミは首を吊ったのか。また、他殺の線ならば何故殺されたのか。
「分からないことだらけだよ、全く」
そこまで思考したときには、タバコも三本目に火が点いていた。
ふと、喉の渇きを覚え、立ち上がると冷蔵庫に向かった。
扉を開けると、そこはジュースの缶がひしめきあっていた。
酒が飲めないハルヒコは気分だけでも、と炭酸飲料を手にとる。
扉を閉め、その場で蓋を開けて一口飲むと、ケータイが着信を告げる。レンからだと思い、ポケットからそれを取り出すと、少し落胆する。
「ジュン、か」
しかし、しばらくしたら電話で話を聞こうとしていた人物だ。
丁度いいと、通話ボタンを押した。
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