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『先生。いまどこにいるんすかー?』
ハルヒコがもしもしと言う前に向こうから男子の声が聞こえた。
三組のジュン。見た目は不良だが、中身はそうでもない。何かにつけてハルヒコの部屋にやってくる。
今回も、大方それだろう。
「家だが……また来るのか?」
少し嫌そうに言ってみるが、ジュン相手には意味をなさない。
『またまたぁ。いつものように、勉強教えてよ!』
とか口実を付けるも、ジュンもジュンで高校生だ。専ら、彼がしてくる質問は恋愛関係が大半を占めている。
まあ、それに対して真面目に聞いてあげているところがハルヒコの人徳に繋がっているのだろう。
「ああ、いいぞ。ただし、親にはそのことを言っておくんだぞ」
そこで、キャッチが入る。
「――悪い。キャッチが入ったから切るぞ。着いたら勝手に入ってこい」
じゃあな、と電話を切ると、画面を見る。着信一件の表示。
……レンからだった。
「…………」
またせるとどやされるかもしれない。すぐにこちらからかけ直すことにした。
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