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コールが三回鳴る。すると、向こうに繋がり、
「遅い! 私というものがいながら他の女と電話してたんでしょ!」
開口一番怒鳴られた。というか……電話からではなく、背後から聞こえた気がするのだが。
「女じゃねぇよ。ジュンだ、ジュン」
試しに、そう返したあとにケータイを耳から離してみる。
「ジュンって誰よ! 明らかに女じゃない」
「だから違うって。三組の――」
「ああ、ゴダイ君?」
「……正解」
ため息を漏らしつつ、後ろを振り返ると――やはりレンがいた。
「お邪魔してますよ、先生」
ついでに、ジュンもそこにいた。
「お、お前ら……」
ハルヒコは、怒りでわなわなと震えている。が、レンとジュンの二人はおかまいなく冷蔵庫からジュースを取り出して、それぞれこたつに潜り込んだ。
「最近夜は寒くなってきたから助かるわ」
「先生? 風邪ひいちまうっすよ」
プシュ、とプルタブを起こす音で我に返り、ハルヒコもこたつに座る。そして、タバコに火を点けて煙を吐き出した。
「もらいー!」
「おい、レン!」
一瞬の隙をついて、レンはハルヒコからタバコを奪い取る。そして、一本を取り出すと慣れた手つきで火を点けて、美味そうに煙を吐き出した。
「ジュンもいかが?」
無言のハルヒコを尻目に、レンはジュンに勧めるが彼は丁重に断った。
レンがタバコを吸うのはジュンも知っている。ハルヒコも注意しなければならないのだが……。
「肺に入れたら、やっぱりムセルのかな?」
単にふかしているだけなので、
「入れんなよ……」
軽く注意をしているだけにしている。
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