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そこからしばらくの間、学生と先生との勉強会の風景が広がっていた。
まあ、もっぱら教えてもらう側にジュン。教える側にレンがいる。
そんな中のハルヒコの役割は、レンが出した練習問題にジュンが回答し、それを採点及び分かりやすく補完していくものというものだった。
つまり、仕事がないハルヒコにとっては暇なだけであり、さらにはレンに教わるジュンの正解率が驚くほど高かったために、単に吸い殻を増やしていっただけだった。
(普段もこれぐらい真面目に取り組めば、優秀な生徒になるんだが)
正直、ジュンの成績はあまり良くない。かといって悪くもない。授業態度も悪くはないし、そんな話を耳にしない。
要はやる気なのだ。
しかし、そればかりはハルヒコがどうにもしてやれない。
(ま、テスト前にでもレンに授業させれば、ジュンの落第はないだろう。あとで提案してみるか)
ジュンのレンに対する恋心の成せる業、とでも言うのだろうか。彼女もそれに気づいているが、あえて表には出してない。
好きではないが、嫌いにはなれない。いつだがレンがハルヒコにそうこぼしていた。
まあ、そこらは置いておいても、レンの勉強の教え方はかなりのものだ。おそらく、中等部の教師以上に分かりやすく、簡潔に教えている。しかし、時たま穴があるのでハルヒコも必要なのだろうが。
「終わり。こんなもんで大丈夫でしょ」
「あ、ありがとう」
ぼーっとしている内にいつの間にか終了していた。時間にして約一時間。その短い時間に五教科の今現在の範囲の復習、要点などを教えきった。
「お疲れさん」
ハルヒコが労いの言葉をかけるも、二人の耳には届いてないようだった。
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