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◇ ◇
暑かった夏が去り、涼しく過ごしやすい秋が訪れた。
食欲の秋?
読書の秋?
いや、レンには――少なくとも彼女には――睡眠の秋。そう言える。
あの寝苦しく、浅い眠りにしかつけなかった夏から、深く、ぐっすり眠れる秋が訪れたのだ。
それは寝なくては損と言わんばかりに本日も一限からノンストップで寝ていた。
「……んっ」
だが、何となく。本当に何となく違和感を感じ目を醒ます。いつもなら、夢から醒めたまどろみが残っているのだが、今は不思議なぐらい意識がクリアになっている。
頭を上げると、教室は静まり返り、生徒、教師はやや視線を下に向けていた。常に数人、ホームルームでもやかましいやつですらも、だ。
不思議に思い、隣の女子に何事かを訊く。
「四組のコイブミちゃんが……理科準備室で首を吊って死んでたんだって」
自殺。
しかも、同学年の生徒が死んだ。
これは、部活で予定していた活動を急遽変更するべきだろうと考え、残った話を聞こうと前を向く。
「今日は色々とドタバタしているため、ここで終わりにします。明日は緊急全校集会がありますので、遅れずに登校してきてください」
おそらく、警察による捜査があるからだろう。となると部活禁止令が敷かれるかもしれないが――関係ない。
帰りの挨拶が終わると同時に教室を飛び出し、隣の一組に駆け込む。
「ハルヒコ! 行くわよ!」
数人残った生徒の視線を浴びつつも、レンは一人の男を呼び出す。
この一組の担任であり、頼れる相棒でもあるハルヒコを。
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