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話を始める前に、ウェイトレスを呼び、コーヒーを注文する。そして、コーヒーが届くまでに、何を話すのかを頭の中で纏める。
当然、その間は無言だが、レンは何も言わずに残りの料理の片付けにかかっていた。
「……さて、あまり役に立つとは思えないが」
コーヒーを一口すする。
美味くもなく、不味くもなく。だが、ハルヒコにコーヒーの違いなんて分かるはずもないのでどうでもいいが。
「亡くなったのは、四組のサガラコイブミ。理科準備室で首を吊り、今日の夕方――掃除の時に発見されたらしい」
理科室の掃除担当の生徒たちが異臭に気づき、何だろうと思い扉を開けたところに見つけた。
「あー……首吊りははっきり言って良いもんじゃないわよね。顔は真っ青に鬱血してるし、何より下は糞尿があるし」
レンは、うぇとえづいてみせる。
「――でも、掃除の時まで気づかれなかったっておかしいわよね?」
「まあ、そうでもない。今日は全クラス、理科の授業がなかったからな」
この学園の理科の授業は移動教室のため、異臭騒ぎになればすぐ気がつく。
「――でも、いつ亡くなったとかは分からないから、授業があっても彼女はその時は生きていたかもしれない」
「ふぅん。今日は彼女登校してたのかしら?」
答えはノー。
無断欠席だと思った担任が自宅に連絡し、コイブミの母親に確認を取ったとのこと。
「――じゃあ、その時には首を吊ってたかもしれないわけね」
そう呟いたレンはおもむろにケータイを取り出した。
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