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「なにしてんだ?」
いくら学校の外とはいえ、目の前でケータイを出されたら気になる。――以前に、本来ならば注意をしなければならないのだが。
「シバさんに鑑識依頼」
「シバさん?」
初めて耳にする名に疑問を抱きつつも、コーヒーに口をつけるハルヒコ。
「警視庁の鑑識課にシバさんの従兄弟がいて、上手くいけば結果が分かるかもしれないのよ。まあ、本職が違うのに、鑑識のノウハウを心得ているから、もしかしたら自分で調べちゃうかも」
パタンとケータイを閉じると、にこりと笑う。純粋なその笑顔が可愛いと思ってしまうのは内緒だ。
「――さて、鑑識の結果によっては変わっちゃうかもだけど、十中八九コイブミちゃんは自殺」
おいおい、この小娘は……。一体何を言い出すかと思えばいきなり結論を出しやがった。
「んで、ハルヒコに課題。コイブミちゃんが自殺をするのまでに至った原因を導き出しなさい」
火のないところに煙は立たず。
結果があれば、それに見合った原因がある。
「だけど、ヒントがなければわかんねぇよ」
だが、レンはものすごいことを言ってのけた。
「材料は出揃ってるわ。単純すぎる事件だもの。それでも分からなかったら現場百回に聞き込み調査。刑事の基本よ?」
それに、生徒と強い絆があるハルヒコならすぐに分かるわよ。そう言って、伝票を掴み立ち上がった。
「――今日は奢ってあげる。私は別方面から探ってみるから」
礼も聞かずに去っていく。
相変わらず行動が早いやつだ。
でもまあ、あいつの暇潰しに付き合ってやりますかね。
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