プロローグ

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桜舞うあの季節…   毎年変わらない季節が特別なものになった…   あの日…桜並木に立つ人を見て……   イザークは心を奪われた…   藍色の少し癖のある髪を柔く風に靡かせ…   愛おしそうに翡翠の瞳に薄紅の桜を映し立つ者…  その姿は何処か儚げで…手を伸ばさないと消えてしまいそうなほどで…   とっさに手を伸ばし肩を掴むも…別に用事があるわけでもなく   驚き振り返った翡翠の瞳にまっすぐ見つめられ…イザークはただ黙るしかなく…   言い訳を考えああでもない、こうでもないと呟くイザークを見て、藍色の髪の人物… アスラン・ザラは花のような笑みを浮かべた…   見知った顔だった… 寧ろ気に入らないとされる人物だった…   アスラン・ザラ…   自分より優秀な相手にイザークはかなりのコンプレックスを抱いていた…    だが…   薄紅の花びらが舞い散るこの桜並木でみるアスランはいつもよりも中性顔で…時折女ではなかろうかと疑うほど美しく見えて…    高鳴る鼓動を必死で押さえきびすを返すと、イザークはその場を後にした…   かなりの後ろ髪を引かれながら……  
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