変化

4/7
前へ
/86ページ
次へ
「問題はお姫様か……でもあいつ、結構無理してるぜ」 「え?」 「あいつも悩んでるってことさ」 お姫様とは夜貴がつけた玲奈のあだ名である。 トン、と夜貴は指で机を叩きながら 「あいつにはあいつの事情があるんだろうさ。一回無理にでも話をつけてみな。大丈夫、姫さんだってお前のこと嫌いじゃないさ。一緒に居たいから入学したくらいだろ」 「そう、かな」 歯切れが悪くひかるはうつむいた。 「そうだよ坊……嬢ちゃん」 「だから言い直すな」 ハハ、と、笑い夜貴は肩を叩いて席を立った。 「相思相愛だよ。お前らはな。俺が保証する。俺保険だ」 違ってたら保険金でも貰えるのだろうか。 夜貴は、1人納得したように笑いながら席を立って行った。 「相思相愛、ね」 そうだったら嬉しいな、とひかるは憂鬱にため息をついた。 ◆ 委員会の仕事を終える頃には、すでに校舎内にはほとんど人が残っていない状態だった。 昼に渡されたプリントは今月入荷した新しい本のリストで、それをチェックするので遅くなったのだ。 「別に図書委員でもないんだけどな」 本当はちゃんと図書委員が別に居るのだが、何故か気が付いたらひかるが担当になっていたという謎。
/86ページ

最初のコメントを投稿しよう!

27人が本棚に入れています
本棚に追加