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実際、クラスメートのほとんどがひかるを図書委員だと勘違いしている。
本当の図書委員は誰も知らなかったりしている始末である。
「まあ、いいや。今日はさっさと帰ろう」
教室の戸を開けようとひかるが手をかけようとした瞬間、独りでに戸がスライドした。
「あ」
「あ」
ご対面。相手は玲奈だった。
「……まだ、残っていたのね」
「……うん」
お互いに、切れの悪い会話であった。
「じゃあ、私はこれで」
「あ、玲奈ちゃん」
逃げるように歩き出す玲奈を、ひかるは反射的に呼び止めた。
「何、私は忙しいの。前にも言ったでしょ。必要以上に私に近付かないで」
でも、とひかるは口ごもる。
ここで引っ込んではいけない。
このままじゃ一生このままかもしれない。
そんなの嫌だ。
自分は玲奈のことが好きなんだ。
また前のように仲の良い関係に戻りたい。
また、友達として一緒に傍らに居たい。
意を決っし、ひかるは言った。
「玲奈ちゃん。どうして僕を避けてるの」
「あなたが嫌だからですわ」
間を置かない、容赦ない玲奈の言葉が冷たくひかるに突き刺さった。
けど、ここで諦める訳にもいかない。
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